寝不足の日に心が乾く理由と夜に崩れる感情の正体をやっと言葉にできた話

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保湿しても寝不足が全部壊す

洗顔・スキンケアする女性

今朝は、カーテンの隙間から入ってくる光がやけに白くて、部屋の空気が薄いみたいに感じた。天気がいいだけなのに、頭の中だけ曇っていて、起き上がる前から「今日は一日、重いな」とわかってしまう日がある。

スマホのアラームを止めた指先が、まだ夢の続きみたいに鈍くて、ベッドの端に座ったまま数十秒、なにもしないで固まった。


寝不足の朝って、自分の輪郭がぼやける。鏡に映る顔が疲れて見えるとか、そういう話じゃなくて、考えるスピードも、判断の角も、ちょっとずつ丸くなって、すべてが「まあいっか」に寄っていく。そういう丸さが、今日はやけに怖かった。

昨日は「ちゃんとしよう」と思っていた。仕事も、返信も、部屋の片付けも、未来のために積み上げたいことも、うまく回すつもりだった。なのに、夜が来た瞬間から、全部が雑になっていった。

寝不足って、どれだけ整えたつもりでも、最後にぜんぶ崩してくる。しかも静かに、ゆっくり、本人にだけわかる速度で。

今日の主役は、たぶん「寝不足が壊すのは肌じゃなくて、私の“言葉”だった」という話。普段の私は、たぶん言葉でなんとかしている。丁寧に返す、角を立てない、必要なことを必要な温度で言う。だけど寝不足だと、その調整ができなくなる。

言葉が乾いて、短くなって、誤解の余地だけが増える。自分のせいなのに、相手のせいにしたくなる。そういう、いちばんみっともない部分が出てくる。

1)「別にいいよ」が刺さる朝

小さな出来事は、駅のホームで起きた。いつも乗る電車が、いつもより数分遅れていて、ホームの人の密度がいつもより少し高かった。私は、改札を抜けた瞬間に「間に合わないかも」と思って、無理に早歩きした。なのに、階段の途中で足がもつれて、危うく踏み外しそうになった。ふわっと浮くようなめまい。寝不足の体って、こういう時に裏切ってくる。


運よく転びはしなかったけど、手に持っていたコーヒーが揺れて、白いニットの袖に一滴、落ちた。ほんの小さな茶色の点。だけど、それを見た瞬間に胸の奥が「終わった」って言った。別に終わってないのに。たった一滴なのに。

慌ててハンカチで押さえたけど、広がりかけた染みは消えなくて、私はさらに焦って、周りの視線が気になって、勝手に恥ずかしくなって、勝手に怒ってきた。怒りの向きがどこにも行けないから、最後は自分に戻ってくる。
「寝てないだけで、こんなにみっともないことになるんだ」って。


たぶん、私が本当に嫌だったのは、袖の染みじゃなくて、その一滴で一気に崩れた心の弱さだった。

電車に乗り込んでから、友達からのメッセージに気づいた。昨日の夜に来ていたのに、今朝まで既読をつけていない。内容は、ちょっとした相談と、最後に「今日、少しだけ話せる?」の一文。いつもならすぐ返すのに、寝不足の私は、返信欄を開いたまま固まった。


「今の私の言葉、たぶん優しくない」
そう思った。優しくないだけじゃなくて、雑で、短くて、「わかったよ」と言いながら、たぶん相手の気持ちを置き去りにする。そんな予感がした。

だから私は、返信をやめた。返信しない理由を、ちゃんとした事情に見せたくて、「今ちょっと立て込んでて」とか、もっともらしい言い訳を考えた。


でも本音は違う。誰にも言わなかった本音はこれだ。
「人の悩みに乗れるほど、今の私は余裕がない。なのに、余裕がない自分を見せたくない。」
これって、めちゃくちゃ格好悪い。たぶん、わかる人にはわかる格好悪さ。

2)寝不足が連れてくる「小さな意地悪」

会社に着いてからも、私はずっと言葉の温度を失っていた。雑談に笑えない。返事が短い。相手の話を受け止める前に、先に結論を出したくなる。眠いって、ただぼーっとするだけじゃなくて、心の柔らかいところを固くする。

午前中のミーティングで、同僚が「最近、生活整えたら調子いいんだよね」とさらっと言った。早寝早起き、朝ごはん、運動。そういう“正しい生活”の話。私は、笑って「いいね」と言った。言葉だけは。
でも心の中では、ひどいことを思った。


「そりゃ整えられるよね、ちゃんと休める人は」
こんなふうに思う自分に、さらに自己嫌悪が増える。私はその同僚が嫌いなわけじゃない。むしろ好きだし、がんばってるのも知ってる。なのに寝不足だと、相手の良い話が「自分への攻撃」みたいに聞こえる。自分の中の被害者意識が、いちばん元気になる。

そして、私が今まであまり書いてこなかったのって、たぶんこの感情だ。
“軽い嫉妬”とか、“小さな意地悪”とか。


婚活の焦りとか、将来の不安とか、そういう大きいテーマには慣れているのに、この小ささは扱いづらい。言葉にした瞬間、私がちょっと嫌な人に見える気がするから。
でも現実には、寝不足の私は確実に嫌な人になる。自分の中の優しさを、勝手に節約し始める。

昼休み、スマホを見たら、さっきの友達から「ごめん、忙しかったら大丈夫!」と追いメッセージが来ていた。ここで私は、さらにダメだった。


「ほら、やっぱり。気を遣わせた」
そう思って、胸がきゅっと縮んだのに、すぐ次の思考が出てきた。


「でも、気を遣ってくれて助かった」
最低。だけど、正直に書く。寝不足の私の中には、こういう小さな矛盾が普通にいる。

3)私がやめたのは「努力」じゃなくて「説明」

肌を気にする女性

午後、仕事の小さなミスが重なった。資料の数字を一桁間違えて、送信前に気づいて冷や汗。チャットの返答が遅れて、軽く謝る。ほんの些細なことだけど、寝不足の私には大事件に感じる。ミスが怖いから、余計に確認して、余計に時間がかかって、さらに疲れていく。悪循環の王道。

定時の少し前、上司が「これ、急ぎでお願い」と仕事を振ってきた。断れない。断りたくない。私は「了解です」と返した。ここでも、言葉が短い。いつもなら「〇時までに仕上げます」とか、ひとこと添えるのに。
そして私は、ふと気づいた。


寝不足の時って、頑張るのをやめるんじゃなくて、“説明するのをやめる”。
人に自分の状況を伝える余裕がなくなる。だから誤解が増える。誤解が増えると、さらに人から距離をとりたくなる。私は今日は、まさにそれをやっていた。

帰り道、電車の窓に映る自分を見て、袖のシミがまだそこにあるのに気づいた。朝の私なら落ち込むだけだったのに、夕方の私はなぜか笑いそうになった。


「一日、よく持ったじゃん」って。


ポジティブにまとめたいわけじゃない。ただ、今日の私は、寝不足のせいで言葉が荒れて、心が固くなって、ちょっと意地悪になって、誰かに優しくできなかった。そういう自分を、全部なかったことにして明日へ持ち越したくなかった。

家に着いて、コートを脱いで、手を洗って、机の上に置きっぱなしの封筒を見た。ずっと後回しにしていた手続きの書類。未来のために必要なのに、開けるのが面倒で避けていたやつ。寝不足の日は、こういう「小さな先延ばし」が増える。


でも今日は、開けた。ほんの数分で終わる内容だった。拍子抜けするくらい簡単だった。

その時、わかった違和感がある。私は、寝不足で全部が壊れると言いながら、実は“壊れた後の自分”を放置しているだけなんじゃないか、って。


寝不足はたしかに強い。生活の努力を簡単に崩す。だけど、壊れた後に「仕方ない」と言って、そのまま自分を雑に扱うのは、たぶん寝不足のせいじゃない。私の癖だ。

だから、友達にメッセージを返した。長文じゃなくていい。ちゃんとした言葉じゃなくていい。寝不足のままでも、今の私の温度でいいから、説明を一つだけ添える。


「昨日あんまり寝てなくて、うまく言葉が出ないかも。でも、少しだけなら聞けるよ。」
送信した後、変な安心が来た。格好つけない説明って、こんなに軽いんだ。

夜、部屋の電気を少し落として、ソファに沈んだ。いつもなら「今日できなかったこと」の反省会を始めるのに、今日は反省する体力すらなくて、ただ指だけがスマホをスクロールしていた。流れてくるのは、誰かの整った生活、誰かの丁寧な日々、誰かの「できた」の報告。寝不足の日の私は、それを見て勝手に疲れる。


本音を言うと、私は時々、そういう投稿が眩しすぎて嫌いになる。嫌い、というより、近づけない。近づけないから、少しだけ悪口を言いたくなる。その悪口を言ってしまったら、今度は自分が一番嫌いになる。だから、何も言わない。黙って距離を取る。そうやって、静かに孤立する。

ふと、昼に開けた封筒の中身を思い出して、机の上にきれいに揃えてみた。たったそれだけで、部屋の景色が少し変わった。完璧に片付いたわけじゃないけど、「散らかっているもの」と「散らかっていないもの」の境界ができると、心も同じように区切れる気がした。


寝不足の時に私が欲しいのは、すごい回復じゃなくて、こういう小さな境界線なのかもしれない。ここまではできない、ここからはできる。今日はこれだけ。今日はここまで。そうやって自分を雑に扱わないための、線。

わかる…って思う人がいるなら、たぶん同じ種類の寝不足を経験してる。肌がどうとかじゃなくて、あなたの言葉が急に雑になって、優しさの在庫が切れて、ほんの小さなことで心が折れて、でもその折れ方を人に見せたくなくて、さらに孤独になるやつ。

寝不足は、全部を壊す。だけど、壊れたことに気づいた瞬間だけは、自分の手で拾えるものがある。今日の私は、それが「説明」だった。


明日も寝不足かもしれないし、今日よりうまくできないかもしれない。それでも、ひとつだけ問いかけて終わりにしたい。
あなたが寝不足のとき、いちばん最初に壊れるのって、どこですか。
そして、その壊れ方を、誰かに見せられていますか。

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