「今日は保湿いらないかも」が続いた朝、なぜか小鼻だけ老けて見えた湿気シーズンの違和感

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梅雨前の「肌が濡れている気がする日」にこそ見直したい、保湿をサボるスキンケア

美肌女性
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5月17日。暦の上では初夏の空気が少しずつ濃くなり、街路樹の緑も、雨を待っているようにしっとり見える頃です。七十二候でいえば、そろそろ蚕起食桑の季節に近づき、やわらかい命がむくむく動き出すような時期です。

こういう季節になると、私たちのスキンケアは少しだけ油断します。

冬のように頬がピリピリするわけではないですし、鏡を見ても、肌表面はなんとなくツヤっぽいです。むしろ小鼻やおでこは少しテカっていて、「今日は乳液いらないかも」「クリームを塗ったら重そう」と思ってしまいます。

でも、その“湿っている気がする肌”こそ、実はものすごく気をつけたい肌なのです。

今回あえて選びたいニッチなテーマは、「湿気で保湿をサボってしまう肌」です。

スキンケアというと、美容液、成分、毛穴、シミ、シワ、UVケアなどが王道です。もちろんそれも大事です。でも、もっと日常のすき間に潜んでいる、誰も大きな声で記事にしなさそうなテーマがあります。それが、雨の前の日や湿度の高い朝に起きる「なんとなく潤っている錯覚」です。

肌がベタつくと、人は保湿を減らしたくなります。化粧水だけで終わらせたり、乳液を半プッシュにしたり、クリームを引き出しに戻したりします。だけど、肌表面のベタつきと、肌の内側のうるおい感は、必ずしも同じではありません。ここが、30代の肌にとって少しややこしいところです。

20代の頃は、多少スキンケアを適当にしても、翌朝の肌がなんとなく帳尻を合わせてくれた気がします。夜更かししても、クレンジングが雑でも、朝の水洗顔でどうにかなった日がありました。でも30代になると、肌は優しい顔をしながら、静かにメモを取っています。

「あの日、保湿を飛ばしましたね」
「あの日、湿気をうるおいと勘違いしましたね」
「あの日、ベタつきが嫌で乳液を抜きましたね」

肌の記憶力、なかなか侮れません。

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湿気のある朝、肌はうるおっているように見せるのが上手です

湿度が高い朝は、肌の表面がふわっとやわらかく見えることがあります。洗面所の鏡の前で、「あれ、今日は調子いいかも」と思う瞬間です。毛穴もいつもより目立たないような気がして、頬にも少しツヤがあるように見えます。

でも、そのツヤが本当に水分によるものなのか、それとも皮脂や汗の膜なのかは、ぱっと見ただけではわかりにくいです。

特に梅雨前の時期は、朝と昼の気温差もあります。朝は涼しいのに、通勤する頃にはじわっと汗ばみ、昼には冷房の風を浴びます。外では湿気、室内では乾燥。肌にとっては、しっとりとカラカラを一日の中で何度も行き来するようなものです。

それなのに、朝の一瞬だけを見て「今日は保湿を軽くしよう」と決めてしまうと、夕方の肌が急に機嫌を損ねます。ファンデーションが小鼻だけ浮いたり、頬だけ粉っぽくなったり、口元に細い線が出たりします。顔の中で会議がまとまっていないような状態です。

私も以前、湿気の多い朝に乳液を抜いたことがあります。鏡の中の肌がつるんとして見えたので、「今日は軽やかにいこう」と思ったのです。ところが昼過ぎ、スマホの黒い画面に映った自分の顔を見て、そっと画面を伏せました。

小鼻はテカっているのに、頬はなぜかくすんでいて、口元だけ疲れて見えたのです。

そのとき思いました。

湿気は、肌にとっての保湿剤ではなく、ただの天気なのだと。

湿度が高い日は、保湿をやめる日ではありません。むしろ、肌表面を重くしすぎずに、水分を逃がさない工夫をする日です。化粧水を丁寧になじませ、乳液や軽めのクリームで薄くフタをする。いつもより量を増やす必要はなくても、工程そのものを消してしまわないことが大切です。

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ベタつきが嫌いな人ほど、保湿を抜くより「置き方」を変えるほうがいいです

30代になると、スキンケアの悩みは少し複雑になります。乾燥が気になるのに、Tゾーンはテカる。毛穴も気になるけれど、頬は敏感になりやすい。しっかり保湿したいのに、重いクリームを塗ると前髪までしっとりしてしまう。

ここでやりがちなのが、「ベタつくから保湿を減らす」という選択です。気持ちはとてもわかります。仕事前の忙しい朝に、顔がぺたぺたするのは地味にストレスです。髪が頬にくっつくと、それだけで今日のやる気が三割くらい持っていかれます。

でも、保湿を抜く前に試したいのは、塗る量よりも「置き方」を変えることです。

たとえば、乳液やクリームを顔全体に同じ量で塗るのではなく、乾きやすい頬、口元、目元に先に置きます。小鼻やおでこは手に残った分を薄くなじませるくらいにします。これだけでも、顔の中の不公平感が少し減ります。

スキンケアは、顔全体に均一に配るものだと思いがちですが、肌の悩みは場所によって違います。小鼻は皮脂で忙しいし、頬は乾燥で寂しがり屋です。目元は繊細で、口元は会話や食事でよく動きます。全員に同じお弁当を配るより、その人に合う量を渡すほうが自然です。

そして、もうひとつ大事なのが、塗ったあとすぐにメイクへ進まないことです。

朝は時間との戦いです。化粧水、乳液、日焼け止め、下地、ファンデーション。まるで駅の乗り換えのように次々進みたくなります。でも、スキンケアが肌になじむ前にベースメイクを重ねると、ぬるっとした膜の上にメイクを置くことになり、崩れやすくなります。

ほんの少しだけ待つ。歯を磨く、髪をとかす、今日の服に迷う。その間に肌が落ち着きます。

私は最近、保湿をしたあとにすぐファンデーションへ行かず、先に洗濯機のスイッチを押すようにしています。たったそれだけなのに、肌の表面が少し落ち着きます。洗濯機の「ピッ」という音が、スキンケアの休憩ベルみたいで、なんだか少しだけ生活が整った気分になります。

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びっくりしたのは、私の肌荒れの原因が“化粧品不足”ではなかったことです

この話には、少しだけ予想外の続きがあります。

私はずっと、梅雨前に肌が乱れるのは、スキンケアが足りないからだと思っていました。もっと保湿力のある化粧水を買うべきか、皮脂を抑える美容液を足すべきか、毛穴用の洗顔に変えるべきか。夜な夜なスマホで検索して、カートに入れては戻し、口コミを読んではまた迷っていました。

ある日、いつものように洗面所でスキンケアをしていたときです。化粧水をつけた瞬間、ふわっと変なにおいがしました。化粧水のにおいではありません。タオルのにおいでもありません。なんとなく、湿った布と古い水が混ざったような、生活の裏側みたいなにおいです。

犯人は、洗面台の横に置いていたメイクスポンジでした。

毎日使っているのに、「明日洗おう」と思いながら数日たっていたスポンジ。湿度の高い季節、乾ききらないまま洗面所に置かれたスポンジ。私はそのスポンジで、せっかく整えた肌の上にファンデーションをのせていました。

その瞬間、妙に納得してしまいました。

肌が悪かったのではなく、肌に触れるものが少し疲れていたのです。

スキンケアの記事なのに、最後に出てきた主役が化粧水でも美容液でもなく、メイクスポンジだなんて、ちょっと裏切りの展開です。でも、これが意外と大事でした。肌に何を塗るかばかり考えていたけれど、肌に何が触れているかまでは、見落としていたのです。

枕カバー、タオル、メイクブラシ、スマホの画面、マスクの内側、前髪。私たちの肌は、スキンケア用品以外のものにも毎日触れています。むしろ、朝晩のスキンケア時間より、日中に触れている時間のほうが長いものもあります。

それから私は、梅雨前のスキンケアとして、化粧品を増やす前に「肌に触れるものを乾かす日」を作るようにしました。スポンジを洗う。タオルを替える。枕カバーを洗う。スマホを拭く。ブラシを風通しのいい場所に置く。どれも地味です。映えません。SNSで拍手されるような美容ではありません。

でも、不思議と肌の機嫌が少しずつ戻ってきました。

今年の初夏は、肌がベタついた日にこそ、保湿をやめないでみませんか。そして、美容液を買い足す前に、そっとメイクスポンジを見てみませんか。

もしかすると、肌が本当に待っていたのは、新しい化粧品ではなく、ちゃんと乾いた清潔なスポンジだったのかもしれません。

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